東京地方裁判所 平成9年(ワ)22858号 判決 1999年6月30日
原告
株式会社豊澄
代表者代表取締役
黒川晃
右訴訟代理人弁護士
小川秀史郎
同
波多野健司
右補佐人弁理士
須田孝一郎
同
須田元也
被告
スワロー電機株式会社
右代表者代表取締役
河原実
右訴訟代理人弁護士
生沼寿彦
同
中森亘
同
奥田孝雄
右補佐人弁理士
鳥居和久
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 被告は、別紙物件目録記載の交流電源装置(AW―一二〇W)を製造し、販売し、又は販売のために展示してはならない。
二 被告は、別紙物件目録記載の交流電源装置(AW―一二〇W)及びその半製品(右装置の構造を有しているが製品として完成していないもの)を廃棄せよ。
三 被告は、原告に対し、金一〇五万円及びこれに対する平成九年一一月九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 争いのない事実
1 原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その発明を「本件発明」という。)を有する。
登録番号 第二〇七〇二六八号
発明の名称 交流電源装置
出願日 平成五年一月一一日
登録日 平成八年七月一〇日
特許請求の範囲 別紙特許公報(以下「本件公報」という。)の特許請求の範囲請求項1記載のとおり。
2 本件発明の構成要件は、次のとおりに分説することができる(以下「構成要件A」などという。)。
A 交流電源に接続される入力端子と負荷が接続される出力端子とを備えている交流電源装置であること
B 右入力端子の一端と右出力端子の一端間に単相ブリッジに接続された四個のダイオード及び該ダイオードのうちのカソード同士の接続点とアノード同士の接続点間に接続されたスイッチング素子を有する高周波スイッチング回路を備えたものであること
C 所定の高周波ゲート信号を発生し、該ゲート信号により右スイッチング素子をオン・オフ制御することにより右入力端子から供給される交流電力波形をチョッピングして右高周波スイッチング回路からチョッピング出力を発生させるゲート制御回路を備えたものであること
D 右高周波スイッチング回路の出力端と右出力端子間に接続され、右高周波スイッチング回路から出力されるチョッピング出力波形を交流波形に整形するとともに該交流波形に含まれるノイズ成分を除去して負荷に出力するチョークコイル及びコンデンサなどのリアクタンス素子からなる波形整形・ノイズ除去回路を備えたものであること
E 右波形整形・ノイズ除去回路と該波形整形・ノイズ除去回路に直結される右一対の各ダイオードとの間に順方向にそれぞれ接続された一対のスイッチング素子及び該一方のスイッチング素子の出力側と右他方の出力端子間及び他方のスイッチング素子の入力側と右他方の出力端子間に順方向にそれぞれ接続された一対のダイオードを有する低周波スイッチング回路を備えたものであること
F 右各制御整流素子を右交流電源周波数に同期して交流波形の半サイクルずつ交互にオン・オフ制御するゲート制御回路とを備えたものであること
G 右低周波スイッチング回路の各スイッチング素子のオン動作時に右高周波スイッチング回路のチョッピング出力を右波形整形・ノイズ除去回路を通して負荷に供給するとともに右高周波スイッチング素子のオン動作時に負荷に流れる電流で右リアクタンス素子に蓄えられた電気エネルギーを右高周波スイッチング素子のオフ動作時に右低周波スイッチング回路のスイッチング素子及びダイオードを通して負荷に放出するものであること
3 被告は、別紙物件目録記載の交流電源装置(AW―一二〇W)を製造販売している(以下、別紙物件目録記載の交流電源装置(AW―一二〇W)を「被告製品」といい、別紙物件目録記載三の各構成を被告製品の構成1などという。)。
4 被告製品の構成1、4、6、7は、本件発明の構成要件A、D、F、Gとそれぞれ同一である。
5 本件発明の高周波スイッチング回路は、入力端子の一端と出力端子の一端間に四個のダイオードが単相ブリッジに接続され、そのダイオードのうちのカソード同士の接続点とアノード同士の接続点間にスイッチング素子が接続されているというものである(本件発明の構成要件B)が、被告製品の高周波スイッチング回路は、入力端子の一端(10a)と出力端子の一端(17a)間に、別紙物件目録添付図面の構造を有する一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)を直列に両ソース同士を接続して構成されている(被告製品の構成2)ので、本件発明の高周波スイッチング回路とは構成が異なる。
本件発明の低周波スイッチング回路は、波形整形・ノイズ除去回路とその波形整形・ノイズ除去回路に直結される一対の各ダイオードとの間に、一対のスイッチング素子が順方向にそれぞれ接続され、一方のスイッチング素子の出力側と他方の出力端子間及び他方のスイッチング素子の入力側と他方の出力端子間に、一対のダイオードが順方向にそれぞれ接続されているというものである(本件発明の構成要件E)が、被告製品の低周波スイッチング回路は、波形整形・ノイズ除去回路(15)の入力端と高周波スイッチング回路(13)との出力端間に、別紙物件目録添付図面の構造を有するパワーMOSFET(Q3、Q4)と、このパワーMOSFET(Q3、Q4)のドレインにカソードが接続されるダイオード(D3、D5)と、このパワーMOSFET(Q3、Q4)のソースにアノードが接続されるダイオード(D4、D6)とによって形成される一対の直列回路を有し、この直列回路を逆向きに接続した並列回路のパワーMOSFET(Q3、Q4)のソース同士を接続して構成されている(被告製品の構成5)から、本件発明の低周波スイッチング回路とは構成が異なる。
二 争点
1 被告製品は、本件発明の構成要件Cを充足するか。
(一) 原告の主張
本件発明のゲート制御回路は、入力端子から供給される交流電力波形をチョッピングして高周波スイッチング回路からチョッピング出力を発生させるために、所定の高周波ゲート信号を発生し、そのゲート信号により高周波スイッチング回路内のスイッチング素子をオン・オフ制御するものである(本件発明の構成要件C)ところ、被告製品のゲート制御回路(25)は、入力端子(10a、10b)から供給される交流電力波形をチョッピングして高周波スイッチング回路(13)からチョッピング出力を発生させるために、所定の高周波ゲート信号を発生し、そのゲート信号により高周波スイッチング回路(13)内の一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)をオン・オフ制御するものである(被告製品の構成3)から、被告製品は、本件発明の構成要件Cを充足する。
なお、被告製品のゲート制御回路(25)は、高周波ゲート信号の外に、一対のパワーMOSFETのうち高周波ゲート信号によってスイッチングされていないパワーMOSFETをオン状態に保持するための低周波ゲート信号を発生する(被告製品の構成3)。しかし、高周波ゲート信号によってスイッチングされているパワーMOSFETでチョッピングされた出力電流は、高周波ゲート信号によってスイッチングされていないパワーMOSFETのオン状態・オフ状態に関係なく当該パワーMOSFETを流れるので、低周波ゲート信号の発生は、特段の技術的意義を有せず、被告製品が本件発明の構成要件Cを充足するかどうかを左右することはない。
(二) 被告の主張
被告製品のゲート制御回路(25)は、高周波ゲート信号の外に、一対のパワーMOSFETのうち高周波ゲート信号によってスイッチングされていないパワーMOSFETをオン状態に保持するための低周波ゲート信号を発生し(被告製品の構成3)、当該パワーMOSFETをオン状態に保持するから、高周波ゲート信号のみを使用する本件発明とは異なっており、そのために、後記2(二)(2)の作用効果の違いが生じる。したがって、被告製品が本件発明の構成要件Cを充足することはない。
2 本件発明と被告製品との間に前記一5のような違いがあっても、被告製品は本件発明と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属するということができるか。
(一) 原告の主張
(1) 本件発明の目的等について
従来、交流入力電力を直流に変換し、この直流をチョッピングすることにより所定の振幅及び周波数の交流出力を得る交流―直流―交流変換方式の電源装置が知られていた。この装置は、トランスを使用しないため、小形、軽量化が可能になるが、整流回路及び平滑回路が必要になるため、回路素子数が多くなって回路が複雑になるとともに、装置全体の力率が低下するという問題があった。
本件発明は、交流入力電力を直流に変換することなくチョッピングする交流―交流変換方式の交流電源装置に関する発明であって、本件発明の目的は、力率を低下することなく所定レベルの交流出力を安定して得ることができ、装置の小形、軽量化を可能にした交流電源装置を提供することにある。
(2) 本件発明の構成要件Bについて
ア 本件発明の構成要件Bの本質的部分は、「高周波スイッチング回路が、交流電源に接続される入力端子から供給される交流電力波形をチョッピングすること」にあるところ、被告製品の高周波スイッチング回路も、交流電源に接続される入力端子から供給される交流電力波形をチョッピングするものであるので、本件発明の構成要件Bと被告製品の構成2との違いは本質的部分ではない。
イ 本件発明の構成要件Bを被告製品の構成2に置換しても、交流電源に接続される入力端子から供給される交流電力波形がチョッピングされるから、本件発明の目的を達成することができ、本件発明と同一の作用効果を奏する。
ウ 高周波スイッチング回路において、一対のパワーMOSFETを直列に両ソース同士を接続すれば、入力端子から供給される交流電力波形をチョッピングすることができることは、当業者であれば、被告製品の製造時において容易に想到することができた。
(3) 本件発明の構成要件Eについて
ア 本件発明の構成要件Eの本質的部分は、「低周波スイッチング回路が、高周波スイッチング回路と波形整形・ノイズ除去回路間に接続され、高周波スイッチング回路のチョッピング出力を波形整形・ノイズ除去回路を通して負荷に供給するとともに、高周波スイッチング回路のオン動作時に負荷に流れる電流で波形整形・ノイズ除去回路のリアクタンス素子に蓄えられた電気エネルギーを、高周波スイッチング回路のオフ動作時に負荷に放出すること」にあるところ、被告製品の低周波スイッチング回路も、そのようなものであるので、本件発明の構成要件Eと被告製品の構成5との違いは本質的部分ではないし、被告製品の構成5によって、本件発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏する。
イ 本件発明の構成5は、当業者であれば、被告製品の製造時において容易に想到することができた。
(4) 被告製品の容易推考性について
被告製品は、交流―交流変換方式のものであるから、本件発明の特許出願時における公知技術と同一でなく、また、当業者が公知技術から右出願時に容易に推考できたものではない。
(5) 意識的除外について
原告は、後記(二)(1)のとおり平成七年三月八日付け手続補正書により明細書の一部を補正しているが、これは不明瞭と指摘された部分を明瞭化したにすぎず、本件発明の特許出願手続において、被告製品の構成2、5を有する装置を特許請求の範囲から意識的に除外したものではない。
(6) したがって、本件発明と被告製品との間に前記一5のような違いがあっても、被告製品は本件発明と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属するということができる。
(二) 被告の主張
(1) 本件特許の出願当初の特許請求の範囲請求項1は、別紙「当初の特許請求の範囲」記載のとおりであった。原告は、特許庁審査官から、この特許請求の範囲の記載では不明瞭との指摘を受けて、平成七年三月八日付け手続補正書により具体的な回路の構成を明らかにする補正をして、特許を受けた。
したがって、本件発明の本質的な部分は、具体的な回路の構成であり、原告が前記(一)(2)及び(3)の各アで主張するような抽象的なものではない。
そうすると、本件発明の構成要件Bと被告製品の構成2との違い及び本件発明の構成要件Eと被告製品の構成5との違いは、本件発明の本質的部分に関するものである。
(2) 本件発明では、高周波スイッチング回路のスイッチング素子が一つである(本件発明の構成要件B)ため、リアクタンス素子に蓄積されている電気エネルギーによって、出力波形が入力波形の正弦波に近い波形とならないが、被告製品の高周波スイッチング回路では、スイッチング素子を二つ使っている(被告製品の構成2)ため、リアクタンス素子に蓄積されている電気エネルギーを、オン状態のパワーMOSFET及びチョッピングしている方のパワーMOSFET内部に存する寄生ダイオードを通じて放出することが可能となり、その結果、出力波形は、入力波形の正弦波に近い波形となる。したがって、被告装置では、ノイズや故障が、本件発明よりも格段少なくなるのであって、このように、本件発明の作用効果と被告製品の作用効果とは、明らかに異なる。
(3) 右(1)の本件発明の出願経過からすると、原告は、意識的に、特許請求の範囲から、平成七年三月八日付け手続補正書により補正した具体的な回路の構成以外のものを除外したといわざるを得ないから、被告装置の構成2、5を有する装置は特許請求の範囲から意識的に除外されたものである。
(4) したがって、本件発明と被告製品との間に前記一5のような違いがあっても、被告製品は本件発明と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属するということはできない。
3 原告の損害
(一) 原告の主張
被告は、平成九年四月から同年九月までの間に、少なくとも販売額にして二一〇〇万円相当の被告装置を製造販売したところ、本件発明の実施料率は、販売額の五パーセントを下回ることはないから、原告は、少なくとも一〇五万円の損害を被った。
(二) 被告の主張
原告の損害に関する主張を争う。
第三 当裁判所の判断
一 本件発明と被告製品との間には、前記第二の一5の違いが存するから、被告製品は、文言上本件発明の技術的範囲に属するものではない。
そこで、前記第二の一5の違いがあっても、被告製品は本件発明と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属するということができるかどうかについて判断する。
二 証拠(甲一、乙一ないし四)によると、次の事実が認められる。
1 本件特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項1は、別紙「当初の特許請求の範囲」記載のとおりであった。また、本件特許の出願当初の図面のうち第3図及び第4図は、別紙「当初の図面」記載のとおりであった。
2 特許庁審査官は、原告に対して、次のような内容の拒絶理由通知を行った。「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で特許法第三六条第四項又は第五項及び第六項に規定する要件を満たしていない。
記
本願の発明の特許請求の範囲請求項1の記載では、以下の点で請求項1に記載された発明の構成が不明である。
請求項1の第9〜13行の記載では、低周波スイッチング回路の構成が不明であり、どのような構成により高周波スイッチング回路のオン時の電流及びオフ時の電流を負荷に供給しているのか不明である。(第3図または第4図の記載に基づき、各素子(D1〜D6、SCR1〜2、TR1及びCH)の接続関係を明瞭に記載されたい。)」
3 原告は、平成七年三月八日付け手続補正書により、特許請求の範囲を本件公報の特許請求の範囲請求項1記載のものに補正するとともに、図面のうち第3図及び第4図を本件公報の第3図及び第4図のものに補正した(以下、この補正を「本件補正」という。)。
4 本件特許の出願当初の明細書の[0032]には、次のような記載があった。これらの記載は、本件補正後も残っている(本件公報[0032])。
(一) 「実施例では、高周波スイッチング回路13のMOSFETを一個用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、二つのMOSFETなどを逆並列に接続した回路でもよい。」
(二) 「本発明は、実施例に示す構成のものに限らず、請求項に記載した範囲を逸脱しない限り種々の変形が可能である。」
三 右二1ないし3認定の事実に前記第二の一の争いがない事実と弁論の全趣旨を総合すると、本件発明の交流電源装置は、高周波スイッチング回路、ゲート制御回路、波形整形・ノイズ除去回路及び低周波スイッチング回路を備えた装置であるが、原告は、右各回路について具体的な回路構成を特定することなく、本件特許の出願をしたところ、特許庁審査官から、「低周波スイッチング回路の構成が不明であり、どのような構成により高周波スイッチング回路のオン時の電流及びオフ時の電流を負荷に供給しているのか不明である。」として、右各回路を構成する各ダイオード、各スイッチング素子、チョークコイルの接続関係を明瞭に記載することを示唆されたこと、原告は、本件補正により、高周波スイッチング回路及び低周波スイッチング回路につき、ダイオード及びスイッチング素子の個数及び接続関係を特定した具体的な回路の構成を特許請求の範囲に記載したこと、被告製品の高周波スイッチング回路及び低周波スイッチング回路の具体的な回路の構成(被告製品の構成2、5)は、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている構成(本件発明の構成要件B、E)とは異なること、以上の事実が認められる。
また、右二4認定の事実と前記第二の一の争いがない事実に証拠(甲一)と弁論の全趣旨を総合すると、本件発明の実施例の高周波スイッチング回路は、構成要件Bと同一の回路構成が採られていること、本件特許の出願当初の明細書には、高周波スイッチング回路を、右実施例(構成要件B)とは異なり、二つのMOSFETを逆並列に接続した回路としてもよい旨記載されていたが、そのような回路構成は、本件補正により、特許請求の範囲の高周波スイッチング回路の構成の記載から除かれたこと、本件特許の出願当初の明細書には、請求項に記載した範囲を逸脱しない限り種々の変形が可能である旨記載されていて、当初の特許請求の範囲内で種々の具体的な構成の回路が想定されていたこと、以上の事実が認められる。
以上の事実を総合すると、原告は、高周波スイッチング回路及び低周波スイッチング回路につき、出願当初の明細書の特許請求の範囲では種々の具体的な構成の回路を含むものとして特許出願したにもかかわらず、本件補正により、その具体的な構成を構成要件B、Eのとおりに特定したのであるから、これにより、被告製品の構成2、5を有する装置は特許請求の範囲から意識的に除外されたものと認められる。
そうすると、その余の点について判断するまでもなく、被告製品は本件発明と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属するということはできない。
四 以上の次第で、原告の請求はいずれも理由がない。
(裁判長裁判官森義之 裁判官榎戸道也 裁判官岡口基一)
別紙
別紙特許公報<省略>
別紙物件目録
一 対象物件
「被告製品交流電源装置」(AW―一二〇W)
二 添付図面の説明
被告製品の回路図
図中(10a)(10b)は入力端子、(11)は入力フィルタ、(13)は高周波スイッチング回路、(14)は低周波スイッチング回路、(15)は波形整形・ノイズ除去回路、(16)はフィルタ、(17a)(17b)は出力端子、(18)は負荷、(19)は制御用電源回路、(20)は補助トランス、(25)は高周波スイッチング回路のゲート制御回路、(28)は低周波スイッチング回路のゲート制御回路を示すものである。
三 被告製品の構成
次の1ないし7の構成を備えた図面に示すとおりの交流電源装置
1 交流電源に接続される入力端子(10a、10b)と負荷(18)が接続される出力端子(17a、17b)とを備えている交流電源装置であること。
2 右入力端子の一端(10a)と右出力端子の一端(17a)間に、別紙図面の構造を有する一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)を直列に両ソース同士を接続して構成される高周波スイッチング回路(13)を備えたものであること。
3 高周波ゲート信号と、交流電源の周波数に同期する低周波ゲート信号とを出力し、前記高周波スイッチング回路(13)の一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)の一方を低周波ゲート信号によってオン状態に保持し、他方を高周波ゲート信号によってスイッチングすることにより右入力端子(10a、10b)から供給される交流電力波形をチョッピングして右高周波スイッチング回路(13)からチョッピング出力を発生させるゲート制御回路(25)を備えたものであること。
4 右高周波スイッチング回路(13)の出力端と右出力端子(17a、17b)間に接続され、右高周波スイッチング回路(13)から出力されるチョッピング出力波形を交流波形に整形するとともに該交流波形に含まれるノイズ成分を除去して負荷(18)に出力するチョークコイル及びコンデンサなどのリアクタンス素子からなる波形整形・ノイズ除去回路(15)を備えたものであること。
5 右波形整形・ノイズ除去回路(15)の入力端と右高周波スイッチング回路(13)との出力端間に、別紙図面の構造を有するパワーMOSFET(Q3、Q4)と、このパワーMOSFET(Q3、Q4)のドレインにカソードが接続されるダイオード(D3、D5)と、右パワーMOSFET(Q3、Q4)のソースにアノードが接続されるダイオード(D4、D6)とによって形成される一対の直列回路を有し、この直列回路を逆向きに接続した並列回路の右パワーMOSFET(Q3、Q4)のソース同士を接続して構成される低周波スイッチング回路(14)を備えたものであること。
6 右パワーMOSFET(Q3、Q4)を、交流電源周波数に同期して交流波形の半サイクルずつ交互にオン・オフ制御するゲート制御回路(28)を備えたものであること。
7 右高周波スイッチング回路(13)のチョッピング出力が右波形整形・ノイズ除去回路を通して負荷に供給され、右低周波スイッチング回路(14)のパワーMOSFET(Q3、Q4)のオン動作時に右高周波スイッチング回路(13)の一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)のオン動作時に負荷に流れる電流で右リアクタンス素子に蓄えられた電気エネルギーを右高周波スイッチング回路(13)の右一対のパワーMOSFET(Q1、Q2)のいずれか一方のオフ動作時に右低周波スイッチング回路(14)の右パワーMOSFET(Q3、Q4)及びダイオード(D3、D4、D5、D6)を通して負荷(18)に放出するものであること。
別紙当初の特許請求の範囲
交流電源に接続される入力端子と、
前記入力端子から供給される交流電力波形を負荷の定格に応じた交流電圧が得られるようにチョッピングする高周波スイッチング回路と、
前記負荷の定格に応じた交流電圧が得られるように前記高周波スイッチング回路をオン・オフ制御するゲート制御回路と、
前記高周波スイッチング回路の後段に接続され、前記高周波スイッチング回路により得られた出力波形を交流波形に整形するとともにノイズ成分を除去し前記負荷に出力する波形整形・ノイズ除去回路と、
前記高周波スイッチング回路と前記波形整形・ノイズ除去回路間に接続され、前記交流電源周波数に同期してオン・オフ制御することで前記高周波スイッチング回路のオン時に流れる電流を通過させるとともに該高周波スイッチング回路のオフ時に前記波形整形・ノイズ除去回路のリアクタンス素子に蓄えられた電気エネルギーを負荷へ放出する低周波スイッチング回路と、
を備えたことを特徴とする交流電源装置
別紙当初の図面<省略>